お客様の声

赤坂 蕎介

ニューヨークからご連絡を頂いたのが、新店出店の始まりでした。

ND: 今日は、インタビューのご協力いただけるとのことで、ありがとうございます。千田さんとは久しぶりにお会いさせて頂いています、もう何年になりますでしょうか?   赤坂 蕎介様: 店はだいたい15年ぐらいなると思いますね。   ND: そうですね。あの当時私が記憶しているのは千田さんがニューヨークにいらっしゃいました。   赤坂 蕎介様: 行った時もお世話になって、お世話というか、ニチメンさんから何かいろいろ機材を買って向こうに送れるのかどうかとか、その辺ちょっと話をさせて頂いて。   ND: ご連絡をニューヨークから頂いたのが、新店出店の始まりでした。   赤坂 蕎介様: そうでしたっけ?あぁ、そうかもしれないですね。帰って始めるかもしれないから、ニチメンさんに相談しようと思って。   ND: 私が確か記憶していますのは、千田さんが、ニューヨークに行ってらっしゃったので、ニューヨークでお店出されるのかなと思っていましたが、千田さんが日本でやりたいとおっしゃっていて。それでこっちへいついつに成田に着くからというところでお話を頂いたと記憶しています。   赤坂 蕎介様: そうでしたかね。もう結構バタバタで。もう半年ぐらいでしたからね、あっという間の出来事でしたね。

ニューヨークの時のお話

ND: ニューヨークの時のお話も聞ければと思いました。ニューヨークって何年ぐらい居て、どんなご縁で行かれたのでしょうか?   赤坂 蕎介様: 前から海外で働いてみたいなっていう希望は、結構あってですね。 それだけで向こうにいろんな伝手を辿って、結局行くことになったんですけども、当時行ったのが2003年だったので、2001年にテロがありましたでしょう? で、会社もすぐ近くだったんでね、もうニューヨーク自体が本当、廃都市みたいな感じで、観光客も来ない。 ビジネスもない。みたいな感じで、もう今のコロナ禍の飲食店の状況ですよね。 私が直接見たわけじゃないんですけども。 だけど、日本は別にその直接の被害もないから普通じゃないですか良くもないかもしれないけども。 それで、いろんな伝手を辿ってリンガーハットっていう会社あるじゃないですか、長崎ちゃんぽんのね。 大手外食企業の社長さんの一族のご兄弟がニューヨークで飲食店されてるということで、何店舗かやってたんですね。 それで僕も向こうにいる友達とか頼って何回かいろいろな日本食レストランとか食べたりしてて、やっぱりこっちで働いてみたいなと思って、何軒か直接日本料理店に電話して、こういう者なんですけどもみたいなことを話して、そしたら社長が今度日本行くから1回お話しませんかみたいな感じで、社長と一度お話させて頂いて、そしたら、意気投合したというかですね。 ニューヨークは当時そんなに景気も良くないと。 だけどその当時僕は日本の外食ビジネスを見てたので、日本では高田屋さんとか言いましたよね、僕がそういう居酒屋のそば居酒屋みたいな業態が大分店舗数を増やしてますよと。 僕がカリフォルニアとかニューヨークとか行って見た日本食はやっぱりもう1世代2世代前の日本料理屋さんがそのままやっててね。 競争がないからそのままできちゃうんですよね。 店の場所は、シェラトンやプラザとかもすごい近いし、もう本当ど真ん中。 ロケーションは最高でしたね。 だから日本のビジネスマンとか、仕事関係の人が来た時に、日本である程度いい店行ってたり、いろいろ判断力のある人が来たときに、そういう人が行きたくなるようなお店作りをすればあとは向こうのね、東洋かぶれじゃないけどね、新しい物好きのニューヨーカーみたいな人たちとかを呼べるような店にすれば、しっかりビジネスができるんじゃないかと思って。 ニューヨークでも色々食べ歩きましたが、当時から見ても20年前位の古いタイプの日本食レストランばかりでした。 それで成り立っちゃってるので、それでやってるんです。 それはそれでいいんですが、要するに、あるのは古いタイプの日本食レストランやそれを真似してやってる韓国系やチャイニーズ系のお店が多かった。 なので、ちゃんとしっかりしている店をやれば、需要はあると思うんですがみたいなことを話して、そこで僕はたまたまそういう仕事をしてたので、自分ができるかどうかわかんないけどもそういうのがいいんじゃないかなと思いますとかいう話をしたら社長もいまいち不振のレストランがあったので、だったら手打ちそばを入れて今の店を改装オープンしようという話になりました   ND: 店名はなんておっしゃってましたでしょう?   赤坂 蕎介様: 「鬼が島」っていうお店ですね。   ND: ブロードウェイのあたりですか?   赤坂 蕎介様: まぁ近いですね、歩いてすぐですね。 なので、そういう手打ち場とかも作って改装しようと、だから調理器具とかですね、僕もその頃行ったばっかりなのでどういう調理器具があるかも知らないですしね。 使い方とかわかってるところから、送ってもらえるんだったら、そういうとこで買った方がいいんじゃないかみたいな話になってですね。 だいたい向こうはそのそばとか茹でるとか切るとかそういうことがもう全くないからそういうメーカーはないんですよね。 なので渡邉さんに調理機をニューヨークへ送っていただけるか相談させていただきました。   ND: 何年ぐらいお勤めでしたのでしょうか   赤坂 蕎介様: 3年ぐらいですかね。最初は上手くいかない時期もあったんですけども、一応最終的にはある程度形になりました。もともと自分でやりたいっていうのはありましたので、後は自分で独立する準備を始めました。

初めて来た時に迷わずここだなと思ったんです。

ND: それでニューヨークで本格的に独立っていうことじゃなくて、、   赤坂 蕎介様: そうですね。私、その頃たまたま何か本か新聞で読んだ中で、中谷何とかさんっていう、いますよね?博報堂出身かなんかでマーケティングの本書かれてる人。ひと昔前にね。その人の本かコラムか何かで、何かやるんだったら、一番厳しいとこで始めた方がいいって書いてあったんですよ。   ND: なるほど。   赤坂 蕎介様: 1番厳しいところではちょっと大変なんだけど、1回そこでできてしまえば、もうあとは全部楽っていう事をおっしゃってたんですよね、その人がね。確かにそうだなと。そこでふと当時のニューヨークの日本食レストランの状況を見てみますと、日本に持ってきても十分にやっていけると思えるようなお店が少なかった。韓国系や中国系の日本食レストランも多くて。こういうとこで、たとえ店をやっていけたとしてもあまり意味が無いんじゃないかなと思うようになりました。   ND: 手応えがないということですね。   赤坂 蕎介様: そうですよね。なのでやっぱり一番厳しい所って言ったら蕎麦について言うとやっぱり日本だし、東京なんですよね。件数が世界一ですよね。だからそれだけ競争も厳しいし、いずれ海外でやるにしても、一旦はちゃんと東京でやり切る事が大事なんじゃないかと思って。ほとんどの店が駄目になるんだから自分もその1人かも知れない訳なんでね。そこでできたら次のことを考えればいいんじゃないのかと思いました。   ND: むしろ東京がチャレンジ   赤坂 蕎介様: そうですね。本当に名立たる暖簾がいっぱいあるわけなんでね。そういうとこに割って入る訳だから。あの頃渡邉さんがおっしゃってくれた言葉でね、私、覚えてることがいくつかあるんですけどね。確かTBSの辺りにタリーズがありましたよね。そこだったような気もするんだけども、千田さんも赤坂でやるんだったら、砂場さんもあるし長寿庵さんだって何件もあるし、昔からやってるお蕎麦屋ある訳だからね、もうそういう所に殴り込みをかけるようなことする訳だからね、そのつもりでやんなきゃ駄目だよみたいなね。そういう言葉を頂いてね、確かに本当にそうだなって思いましたね。   ND: 千田さんから連絡を頂いてニューヨークにいらっしゃる時から電話頂いたじゃないですか。それを頂いてやはり嬉しかったですね。日本に戻ってくる前に声かけてもらいまして。それからが本番でしたね、計画やら物件探しですよね。   赤坂 蕎介様: 渡邉さんも夏にね、社長なのに、こんなどこ馬の骨かもわからないようなね、ちゃんと支払能力もあるかどうかも分からないような若造によくついてきてくれましたよね。   ND: いや、千田さんは情熱がありました。だから魅力があるんですよね、千田さんに。何かやっぱりそういうのありますね。感じるものが。   赤坂 蕎介様: そうでしたかね(笑) ありがとうございます。   ND: はい。それは思ってましたね。   赤坂 蕎介様: その当時もネットはあったんで、新宿、神楽坂、赤坂とか色んなとこを見て歩いて、それで、これでいいかなと自分では思ったり。やっぱり渡邉さんはもう飲食店ずっと見てるから、だいたい何をやってもイマイチ上手くいかない場所とかってやっぱりなんとなくありますよね。だけども、こんなとこで?っていう場所でも、やっぱ力があれば来るしね。その辺は自分で全く見定める感覚がなかったから、もうおまかせですよね。渡邉さんの目から見てこの物件は最終的にどう?みたいなことですよね。1日に何軒も物件見に行って。   ND: 千田さんがここの赤坂の今のこのお店を見つけて来られて、ここへ来たときはいやあ、驚きましたね。   赤坂 蕎介様: そうですか?   ND: よくこんなところを見つけて来られたなと。   赤坂 蕎介様: なるほどね。私も本当、細い道から全部歩いてましたからね。   ND: 凄かったですね。本当多分ね今までもうずいぶん仕事やらさせて頂いたけど、千田さんぐらい物件を丹念に、ご自分のイメージを描きながら、お店の探されていた方は決して多くありませんでしたね。   赤坂 蕎介様: そうですかね。何ヶ月かもちろん掛かってますね。だからまぁ、考えるとやっぱり、いわゆる物件とか言ってても出てくるのっていうのは、何らかの原因があって駄目になったり辞めたりしたから出てきてる物件なんですよね。なのでやっぱりそれなりの理由があって、食い物屋としてはこれは全く無理だなっていうような感じの物件が大半ですよね   ND: そうですよね。ここから確かすぐ近くの不動産屋でしたよね?   赤坂 蕎介様: そうですね。   ND: そこへ千田さんが来てくれと言うので来て、ここの店見たときは本当に普通の木造住宅でしたから。   赤坂 蕎介様: そうですね、家ですよね。だから「ガンッ」とかって開けてですね、もう入口が開かないんだから、まずね。登記簿見たら昭和30年ぐらいの建物でしたね。なので、開けたらもう、なんか、囲炉裏はなかったと思うんだけど、でも畳があって。   ND: 畳ですね。もちろん厨房なんかないですし、住宅ですもんね。おばあちゃんが住んでらっしゃって。   赤坂 蕎介様: そう、数年前までね。でも亡くなっちゃって。もう要するに廃屋ですよね。もうだから、僕が言わなかったら多分取り壊しされて、ビルになってたでしょうね。この辺りは。   ND: でも、私は、ここ初めて来た時に迷わずここだなと思ったんです。   赤坂 蕎介様: そうですか?   ND: ただ、建物が傾いていて、これは直すのは大変だなと思いましたけど、赤坂の真ん中でね、木造が残ってること自体希少品なのに、それを店舗にするっていうと設備が何もなかったですからね。 給排水電気ガス、何もない。それをやるには、ある意味建築じゃないけど、建築からみたいなことになるんですよね。 だけど、ここだったら千田さんが、この経営者としての千田さんの人柄と、お店の出来上がってくるイメージっていうのがなぜか我々が分かる、分かるというと失礼かもしれないですけど。 バランスが取れる感じっていうのが。 この方がこういうお店をやるとうまくいく、この方がこの店をやると似合ってらっしゃる。 というのが、それってお店の個性っていうかオーナーのお店の店格になってくるもんですから…直感的に瞬間的にも思いました。

作るのがゴールじゃない。そこからスタート。

赤坂 蕎介様: 確か、渡邉さんと神楽坂の店も行きましたよ。神楽坂でもね3階ぐらいの建物があって3階建ての日本家屋みたいなので、1・2階を店にして3階に千田さん住めるじゃんと。もしくは3階は、座敷にしても良いしみたいな事をおっしゃってました。私はね渡邉さんの事で覚えてるのが渡邉さんがその店が飲食店として使えるかどうか見るときに、僕なんかほら、経験も知識もないんでね、この物件はそれなりに店になるのか否か。又、設備にどれ位の費用がかかるのか、完成までにどれ位時間がかかるのかっていう事は、パッとわからないんですよ。あとはパッと表に出て、こう色々と、チラ見するわけですよ。チラッと見たときに目に入るかどうかとかね、そういうのを大分気にされてましたよね。   ND: そうです。死角とかアプローチっていうのがすごく重要だと思ってるんですよね。   赤坂 蕎介様: なるほどね。わざわざこっちに行ってから見てまたこっち行って見てこっち行ってね。いやぁ、こんな見方をするのか、やっぱもうプロですよね。店作る事自体はね、できる店、施工会社なんて山ほどありますよ。はっきり言って。でも作りっぱなしじゃ困るわけですよやっぱり。それが、始める人にとって一番困ることなんですよね。   ND: 作るのがゴールじゃないですからね。そこからスタート、本番ですもんね。   赤坂 蕎介様: ここまでが大変だから、もうここまでで結構使い果たしちゃうんですよね。   ND: ゴールに来たような感覚になっちゃうんですよね。   赤坂 蕎介様: 開業したら勝手にお客さん来るもんだみたいに思い込んじゃってるんですよね、初めて始める人はね。   ND: なりやすいですよね。   赤坂 蕎介様: そう、なりやすい。もう夢と希望で満ち溢れてるからね。もう夢のバラ色の世界しか見てないですよね。だからそのワーッて取り組むんだけどそれを「はい、パン」と始まったら、もう経営については全て自分1人でやるわけだから、ここからちゃんとやり遂げていくっていうことが大変なわけです。ほっといたってお客さんが来るわけないんだから。だからそれに肌で気づいて、なんだかんだ言って出来てやっていける人はいいけどね。駄目になってくる店もいっぱいあるんですよね。   ND: もう本当に長くやる。例えばこの赤坂なんか本当にあの出入りが激しい街で、もうほとんど1年かそこらで来て街に来ると無いですよね。   赤坂 蕎介様: 無いですね。もう半年ですよね。   ND: ですよね。ましてお蕎麦屋さんだって、今この現状だとあそこの長寿庵さんも今辞めてらっしゃる。   赤坂 蕎介様: そうですね。   ND: 千田さんのこちらの今のお店で、やっぱりもちろん千田さんが手打ちで、料理もずっと時々お邪魔をしながら飲ませて頂いたり私もプライベートに伺ったりするんだけど、とにかく美味しいしね、料理もあの非常にその艶っぽいお料理が多いとか、お蕎麦もやっぱり色気というか、その距離感とかね、その間合いってのは僕らもデザインのポリシーにしてるところで、その粋さとかっていうのは、距離感とか色気みたいなものに繋がってるものがあるんで、だから器の使い方とか出し方とかもうその辺は全て入り口からね、あの店の店頭から店内入ってきて、出てくる料理とかイメージがスッと入るんですね。   赤坂 蕎介様: そうですか。   ND: 自分が使ってお邪魔してみてわかるというか。やっぱり千田さんの店の内容のいいところと、このお店とが上手くこうマッチしてるんじゃないかなとストーリーが取れてるような、そういうニュアンスの私なんかやっぱり感じるんですよね。   赤坂 蕎介様: まぁ、巡り合わせというか、難しいですよね。私も何店舗か渡邉さんに見てもらって、あの中でもゴリ押ししたら多分進めちゃったと思う。渡邉さんにストップかけて頂いて良かった。   ND: そうかもしれないですね。もしかしたらその前にあれだけ見ててもう根気がなくなっちゃうじゃないけど、ある程度妥協するみたいなところはあったのかもしれないけど、でも、千田さん絶対そういう事はないと思うし、もう私はもうそこまではフラッと来るものがないと、やはり力が入らない。やっぱり千田さんが力が入らないものはどういう条件が良くてもね、入らないものは入らないと思うんで。   赤坂 蕎介様: そういうことなんですよね。   ND: ニューヨークから日本でやろうっていうことを相談しましてこの赤坂の東京のど真ん中で、それこそもう激戦区の中に。もう飲み屋さん山ほどある、もう100メーターに何件あるっていうぐらいですよ。それ考えると、これだけ15年ですか?   赤坂 蕎介様: それくらいですね。   ND: もうここまで、もうやってる、この継続してる姿が全てを示してる。   赤坂 蕎介様: いや、それはちょっと大袈裟だと思いますけども。。   ND: 本当すごいと思う。   赤坂 蕎介様: 資金面でも乏しかったですし、料理とか言ったって、吉兆に何年いたとかね、そういう板前さんだっていっぱいいるわけですよね。だけども、僕なんかは、所詮はにわか。料理人とは自分では恥ずかしく言えないですよね。本当にもう高校を卒業してね、坊主でね、寝泊まりしてその店でやってるような人も、普通だと思うんですけど今もちょっとあるかもしれないですけども。そういう世界でずっとやってきてる人もいるわけじゃないですか。今でもいると思いますよね。だけども腕の良い板前の人が必ずしも上手くいくっていうことじゃ全く無い。   ND: お蕎麦屋さんと日本料理は和で括っちゃえば一緒ですけど、私いつも思うんだけど、腕に覚えのある人が日本料理やると腕がなっちゃうんですよ。   赤坂 蕎介様: なるほどね   ND: なりすぎて、もう難しいことをやり始めちゃう。仕込みも含めて結構な時間をかけ始めちゃうんですよ。悪くはないんでしょうけどそれは一つの形としてあるけど、日本食の職人の方がお蕎麦をあの本当に専門店としてやってうまくいってるってケースはあまり見たことないですよね。   赤坂 蕎介様: ないですね。   ND: 全部とは言わないけどやっぱりなかなか見ない。むしろ千田さんおっしゃった、さっき私共のそのデザイン的な部分で言うと粋さとかね、やっぱり昼間酒とか、いろんな意味であの江戸前の姿とか飲み方を知ってるようなお蕎麦の独特なこの蕎麦前から始まってる酒の楽しみ方。ここの部分に関してはかえって、その範囲の中で留められるっていうのは、1歩出ちゃうとキリがない世界にそこは入っちゃいますからね。そこがそうなってくるとね、やっぱりセンスの部分もあるんですね、器の選び方からメニューの作り方出し方、盛り付け、量もそうだし、味の調え方。もう全部その辺は感覚バランスの問題だと思う。そこが蕎介さんの魅力なんじゃないかと思いますけどもね。   赤坂 蕎介様: 今の所は何とかやってます。   ND: 非常に評価も高いですよね、食べログなんかも、まぁあれだけがあてになるわけではないかもしれないけど。非常に周りからの高評価も頂いてらっしゃる

内装工事というよりは改築でした。

赤坂 蕎介様: この物件を使えるってことがわかって、ガッて開けて、不動産屋さんと2人で上がって、私そこの階段を渡邉さん上がっていったのを覚えてますよ、そのシーンを。いやぁ千田さん、これはいいよと言ってましたよ。汚くて廃屋だけども、ちゃんと内装やれば店になりますっていう事をおっしゃってもらってね、もうもちろんそういう設計施工とかの知識はゼロなわけだから、もうお任せしてやってもらうしかないですよね。信頼してね。   ND: ありがたいですね、そういって頂ける事は。応えるっていうことのプレッシャーがありますからね我々も。本当にでもそれはありがたいことです。   赤坂 蕎介様: ほとんど頼む人っていうのは設計施工には、素人でわからないわけだから。ちょっと自分で勉強したからってわかる世界では無い。だからそれは本当にちゃんと施工実績があって、それでちゃんと多く店が存続してるってことで判断するしか無い。   ND: お陰様で本当に多くのお客様、今まで取引してる所が、よほどの事情がない限り、本当に継続されてますね。非常に継続性が高いと思います。   赤坂 蕎介様: 店舗の設計施工を依頼するときは、単なる施工会社ではなくて飲食業をトータルで見られる判断力がある人頼むべきだと思いますね。作るのは別に、どこの工務店だって、同じようなものが作れるわけだから。しっかり飲食店として成り立つような席のバランスとか、もう複合的ですよね。この調光とかどんな形式でどれぐらいの明るさにすればいいのかとかね。これだとなんか前が狭いとかね、ここからだと人が、テーブル見えちゃうとかね、そういう事をしっかり把握できている人に頼まないとね。初めての人はこの辺りの事が中々わからないですからね。   ND: ここは構造も難しかったんですよね。だから、建物入って本当に傾いてたところもあったし床もね、結構フラットに、今もなってない所あると思いますけど。その状態で掘りこたつにしたり、それから、いわゆる厨房とかはないので全部床を壊して厨房にしたり、しかも面積がない建物ですからね。そうすると、建物構造をしっかり残こして、抜くところは抜いて、   赤坂 蕎介様: 私も作ってるときの写真撮って今でも写真ありますけどね。   ND: なかなか苦労しましたね   赤坂 蕎介様: あそこのほら、壁壊したら、土壁なんですから。竹で泥でこうやってる壁なんでね。それで、だからもう下の1階、こう壊してもらって、コンクリート全部敷き詰めてもらって。柱をやってくれた大工さんとかがもう、大黒柱って言うんですか?それがね、ネズミにかじられたのか、経年劣化なのか、こんなに細くなってるんです一部分。それはだからバンッて切って大きいのをね、もう男も4人がかりぐらいで、ちょっとどうやってやっのかわからないんだけど、バンッてそこに入れ込むっていうことをしていただきました。   ND: ジャッキアップしてね。   赤坂 蕎介様: そうそうそうそう。   ND: 抱き掛け柱を入れたんですよね。あれ白アリだったんですよ。   赤坂 蕎介様: 白アリだったんですか。   ND: ただ、全部じゃなかったので、その部分だけの入替でそのとき確か注入剤入れて、あれ白アリの避ける注入材を入れたかと思いますけどね。だから、それこそ本当に内装工事というよりは   赤坂 蕎介様: 改築ですよね   ND: それで店の2階には欄干も付けて   赤坂 蕎介様: そうそうそうそう   ND: そうですよね。もう行灯の照明から入口のファサードはもう普通の全くの住宅だったのはずいぶんと。   赤坂 蕎介様: 変わりましたよね、ビフォーアフターですよね。   ND: ものすごい変わり方して   赤坂 蕎介様: テレビですよね。   ND: 印象的には相当違ったんですよね。   赤坂 蕎介様: 全然違いますよね。だからあれは本当、、別の建物になりました。   ND: 前の写真、お持ちになってあります?   赤坂 蕎介様: ありますよ、後で送りますよ。   ND: 本当ですか、あれ見たらびっくりしますよね。   赤坂 蕎介様: 本当まるでビフォーアフターですね、だいぶ綺麗にしてくれて驚きましたね。廃屋で取り壊し間近みたいな建物が小料理屋さんみたいになったんですからね。きっちりやってくれたなって思いましたね。   ND: 今このお店のファンが大勢いらっしゃると思いますけど、そういうお客様の層も千田さんのところ、たまに寄せてもらうと、なかなか良いお客様の筋の方がいらっしゃるようですよね。   赤坂 蕎介様: 年配のサラリーマンの結構役職持ってるような感じの人たちが多い気がしますね。古い建物だから、本当昔の木のままですよね。この鍵とかもやっぱ年配の人とかが見ると昔自分が生まれ育った家とかを思い出すのか、「これはいいねこれ」とか言って。   ND: サッシがない建物ですからね、アルミがないんですね。枠っていうのがない。全部木しかない。土と木しかない。ある意味貴重品ですよね。   赤坂 蕎介様: 年配の方とか結構喜ばれますね。   ND: それもやっぱり住んでおられた方のね、そのおばあちゃんが手入れがよかったのもありますし。   赤坂 蕎介様: 渡邉さんに話してないかもしれないですが、住んでた人がお客さんとして来たんですよ、1回か2回ぐらい。最後おばあちゃんが1人で住んでて亡くなって相続があってどうのこうのとかって言ってその時聞いてなかったんですけども、ただそのおばあちゃんのご家族の方なのかわからないですけどね、ここ住んでて、私ここから予備校通ってたんですよとか言って、あぁ本当ですかとか言って。そういうことがまず、やり始めて数年後ぐらいにありましたね。   ND: 喜んでくれましたかね?   赤坂 蕎介様: まぁ、無くなってるよりはですね。自分が生まれ育ったとこがあってくれた方がね、いいかもしれませんね。そんな事がありました。

メニューと心構え

ND: 今のこの赤坂で千田さんも今もう年数積重ねてこられますけど、お店のこれからの取り組みとして、以前、一度お邪魔したときにわらび餅のギフトがありましたね。   赤坂 蕎介様: ちょっと今ストック無くなっちゃってますけどね。   ND: これからの抱負というか、千田さんお考えはいかがですか?   赤坂 蕎介様: 自分でやり始めて、渡邉さんもほら、仕事関係の方とか何回も連れてきてくださって。 渡邉さんはもう覚えてないと思うんですが、僕は心に留めてる言葉があるというかね。 渡邉さんから金言を頂きましてね。 何かの雑談の中で、「メニューと心構えだよ」って言われたんですよね。 メニューと心構え。 本当その通りだなと思いますね。 心構えですよね、だいたい駄目になるってのも自分が駄目なことしてれば駄目になってくるんであってね、原因は自分なんですよね。 いろんな外的要因はあるけども、結局それに対応してるのが自分だからね。 だから自分がそれにちゃんと対応しなかったりね適当にしてたから、結局ダメな結果になって来るわけであってね。 自分がちゃんとしてれば仕事も必然的にちゃんとなるんじゃないですかね。 普通に考えてね。 よほど音痴な人が歌手になりたいとかって言うんだったらちょっと難しいこともあるかもしれないけども、家庭の奥さんでも料理が好きだったり料理に興味があってずっと考えてたり勉強したりする人もいますよね。 ただの勉強じゃないですよその人にとって好きだからやってるわけだからね。 そうするとやっぱりどんどん身に付いちゃうし、やっぱり悪くはならないですよね。 絶対に良くにしかならない。 スピードはね、すごく早くよくなる人もいればゆっくりな人もいるけども、でもやっぱり良くにしかならないですよね。 それはどんな仕事もそうだと思いますよね。 興味があり関心を持って一つ一つの経験とかを、噛み締めて覚えていってというのの積み重ねですよね。 それをやってると、だんだん間違えなくなりますよね。 とんでもない事をしだすってことがなくなります。 もう大体こうなるなって感じが大体わかってくる。 だから名立たるお店の方々っていうのはそういう努力を継続されてる方がほとんどですよね。 ぽっと出的な感じでね、学校のどこ出たからとか、どっか有名な料亭出たからとか、すぐポンと店自体が千客万来になるなんてことはないですよね。 一時的には、お金かけて宣伝していろんな取材とか受けさせてとかっていう、そういう仕込みの繁盛はできるけどもガチな部分ですよね。 ガチなとこで実力ないと、結局は持たないので。 お客さんをずっと抱えてるようなお店っていうのはそういう努力を継続されてきた。 そういうお店が名誉ある立場になってるっていうような、そんな感じがしますね。   ND: 最近よくお客様に私が使う言葉で、もうこれも大先輩の人から教えて頂いた事によることが多いですけど。三つの核があるっていう。まず味覚。   赤坂 蕎介様: 味覚ね。それは飲食店に限って?   ND: はい。あと、その味覚とね、人格。その人のご主人の人格ですね。それでお店の店格というのがある。これが老舗とかブランドを作っていくお店のファクターで、格があるなあの店はって、格があるねっていうのは、やっぱりそれをその格を維持してる責任者のご主人の徳というかね、人格ですよね。それからもちろん味が美味しいってこれ飲食店基本ですから。これもだから味覚は当然大事なので。それで我々ニチメンデザインの仕事なんかは、むしろその部分の中の店格の部分を作るところでね、見える形のビジュアライズ、そういうところでの和の空間とか、そのお客様のその人格とかさっきのね、味覚を全部こうこうなっていくんじゃないかとこういうイメージを作ってされていくんだろうなっていうものを想定して、店格に繋がっていくようにお客様から目線から見たときに店舗をデザインしていくというそういうような部分を意図して設計をしていくべきかなといつも思うんですよ。   赤坂 蕎介様: だから渡邉さんの仕事はやはり難しいんですよね。仕事の内容が高度なんですよ。自分で連絡くれるんだからお客さんなんだけども、それ全部片っ端から拾っていいのかっていうことですよね。店舗は、ちゃんとお代を払ってくれるんだったらいくらでも作りますよって割り切れば、量産できるとは思いますが。   ND: そういうことには多分ならないんですよね。やっぱり共感というか共鳴して頂けるというか、我々を選んで頂いた基本がどっかにある。お客様にとって。   赤坂 蕎介様: そうですよね。

最初から上手くいくなんて無いから。最初はもう駄目なんだってことを前提に

ND: 我々もやっぱりそういう方に対するバックアップというか、そのサポートというのをそこの部分を実際に形にした時に気に入って頂けるかどうかを良くヒアリングしてその話をさせて頂いて、その上で、表面だけのヒアリングじゃなくてやっぱりその人が持ってる行動であったり、姿勢だったりするんじゃないですかね。 さっき千田さんがニューヨークにいらっしゃって、俺はもう東京でやりたいんだよっていうのはやっぱ姿勢の問題だと思うんですよ。 やっぱり人間大事なのはやっぱり姿勢かなと。 どういう姿勢で仕事に向き合うか、その結果物件を探すにしてもそういう行動として付いてくる訳だから。 もうそろそろ時間があるそうで、データがなくなってきましたので。 多分そんな時間でしょう。 ちょっとね、うん。 最後何かお話あったら、これちょっと言って頂くという事で本日のインタビューを締めさせて頂きたいと思います。   赤坂 蕎介様: 渡邉さんにはゼロからね一緒に汗かいてもらって、二人でアイスコーヒー飲んで、炎天下の中一緒に歩き回って探してくれてね。 それで場所が決まったら僕は丸投げでねやって頂いて。 仕上がりも綺麗にやってもらえて。 あとは完成後にちょこちょこメンテナンス的なこともやって頂いてね。 そういうことですよね。 ってかそれに尽きますよね。 あとはこれから始める人に対して言うんだったらやっぱりさっき言った通り、店ができたのがゴールじゃないから。 出来た時からが本スタートだから、それをよく見通しながらね。だいたい最初から上手くいくなんて無いから。 最初はもう駄目なんだってことを前提にね、駄目なんだけども何とかしがみついてどうにかこうにか良くしていくってことしかないんですよね。   ND: ありがとうございました。 今後とも蕎介さんにお役に立てる様、精進してまいりますので、どうか今後とも宜しくお願いします。それでは本日は以上で、インタビューとして終了させてもらうという事でありがとうございました。   赤坂 蕎介様: ありがとうございました。

お客様情報

蕎麦会席蕎介
https://www.akasaka-kyosuke.com/
東京都港区赤坂3-10-7
TEL 03-3505-5338